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大丈夫。自由は怖くない

DV加害者の特徴

このページは、前ページの続きです。
相談を受けていると、DV夫が同じような発言をしていることがわかってきます。
相談に来てくださった方から聞いたDV夫の発言や、会うことのできたDV夫から見える心理、特徴をまとめてみました。
すると、8つのカテゴリーにだいたい集約されていきました。

その8つは、
「DV加害者の心理」
①パートナーをコントロールしたい。
②自分を特別だと思っていて、特に女性を下に見ている。
③事実を自分の都合のいいように解釈する。(合理化)
④DVを愛だと思っている。

「DV加害者の特徴」
⑤外面が異常にいい。(権威に弱い)
⑥張り詰めたような性格・イライラしている・結婚を急ぐ。
⑦薬物・アルコールを乱用する。
⑧弱い女性を狙う。

となりました。

全部書くと長くなるので、心理編と特徴編に分けてお伝えしていきます。
前回のDV加害者の心理では、加害者の心理をまとめてみましたが、このページでは、DV加害者の多くに共通している特徴を挙げていきます。

⑤外面が異常にいい。(権威に弱い)

加害者は暴力を操っているでも触れていますが、DV夫の中では何もかも「上下」、「優劣」がはっきりと分かれています。
DV夫の中には、上司や同僚とうまくいかず、転職をくりかえす人もいます。
でも意外ですが、大半の人は会社では上手にやっていたりします。
上下関係をわきまえているので、尊敬さえされています。
家庭の中では暴君なのに、外の世界の人に対しては、温和にもふるまえます。

一旦家庭を離れると、周りの人たちもプライベートのことまで詮索したりしません。
それをいいことに持ち前のウソで、世間ではよい評価を得ています。
このことについては、妻が悩むところです。
「バカ女!」などとののしられたのに、外に出てみると夫はお隣さんのタイヤ交換を楽しそうに手伝っている。
外では、全く別人のようにできる夫の意図がわかりません。
そのうえお隣さんから、「本当に素敵な旦那さんね。」なんて言われてしまって、さらにわからなくなる。

DV夫は二重人格?と思ってしまいそうですが、実はこれもDV夫の作戦なんです。
周りからいい人と思われていれば、暴力を疑われることがないからです。
もし家の近くを通った人が大きい声を聞いても、すぐDVだとは判断できません。
「妻がよっぽどひどいことを言ったのだろう。」と勘違いされることもあるくらいです。
こんなことが続き、DVの発覚が遅れたり、まったく発覚しないという事態がおきてしまいます。

また、いい人という表向きの顔のおかげで、DV夫は気を良くし、妻の人間関係の指導へとつながります。
妻は夫のせいで人間関係が作れないのに、それを妻の能力が低いよばわりします。
これもDVの理由のひとつになるんです。
「人と上手く付き合えない妻に、上手い夫が教育する。」
という理由の暴力に発展していきます。

そういうDV夫は、実は「大親友」と呼べるような親密な友達はいません。
もしそういう存在がいると言っても、DV夫の一方的な思い込みです。
DV夫は外面がいいので、近所や同僚との浅い人間関係なら上手く作ることができます。
上辺だけのおしゃべりなら、ウソでも何でもごまかすことができます。
ですが、自分の欠点をさらしたり、悩みを相談したり、相手を認めたり、喜ばせたりすることは、DV夫にはできません。
プライドが許さないんです。
「友達が多い。」と言っておきながら、携帯の電話帳には、職場の人と女性の名前ばかりということは珍しくありません。

⑥張り詰めたような性格・イライラしている・結婚を急ぐ。

DV夫は、会話を選んでいます。
DV夫は、話の展開が自分の都合のいいように進まないと、きげんが悪くなります。
・自分の自慢話につながる会話。
・自分のポリシーを発表できる会話。
・男のカッコイイ生き方の話。
・イイ女とワルイ女の話。
・会社の上司や同僚の悪口。

など、自分が話題の中心にいないといけません。

DV夫は、自分に都合のいい会話でないと、イライラしてきます。
別の話題に変えようとしたり、その場を離れようとしたりします。
貧乏ゆすりを始める人もいます。

私としゃべることになってしまったDV夫たちは、シュンとして縮こまっているか、虚勢を張ってエラそうにしているか、どっちか極端です。
本人も、社会的にいけないことをしているのはわかっています。
私に叱られると思っているのか、なめられないようにしているのか、どっちかなのでしょう。
たいていみんな、イライラしています。
隠そうとしても、伝わってきます。
それはそれは速く帰りたいでしょうね。
でも私が叱るわけではないと解ると、イライラは収まります。
そして、夫婦の事情を聞くと、意気揚々としてしゃべってくれます。
自分がいかに妻を愛していて、どんな妻になってほしいか。
自分がいかに妻のことを考えていて、悪い敵から遠ざけようと努力しているか。
自分がいかに妻に対して時間をさき、人生を狂わされているか。
それでも、自分の人生を捧げてでも、妻はその価値のある女性であること。
を。

そうとう歪んでいます。

DV夫はいつも妻のことを考えていて、その生活のあり方を考えるのに必死なので、ずっと張りつめています。
その生活のあり方とは、自分にとってのみ都合のいい、素晴らしい人生のことなのですが・・・。
そして自分より弱そうな女性をつかまえて、教育していくのが最大の望みです。

DV男はいつも外で素晴らしい自分を演出しているので、とても疲れています。
結婚前は、暴力のことをさとられると困るので、彼女にとても優しく接します。
暴力的だとわからないよう頑張っていますから、とても疲れています。
そのボロが出ないようにはやく結婚してしまいたいです。

はやく彼女を落としたいので、ふんいき作りに余念がありません。
元々、演出は上手ですから、長所を存分に生かします。
ウソを並べて自分を大きく見せ、イライラを隠しているので、張りつめたふんいきが伝わってきます。
でも結婚前はラブラブなので、それさえも素敵に思えます。
そして、甘いふんいきの中、理想の主婦について語ります。
DV男の多くが使う手口です。

女性の方は、ウソでごまかされた彼のことを尊敬しています。
尊敬している人が求めている、理想の主婦になりたいと思います。
ためされている気持ちになり、尊敬している人に尽くすことこそ愛のように思えてきます。
もう最初の準備は整いました。
すぐプロポーズです。

DV夫は前ページの、DV加害者の心理の②特権意識でお話ししたように、なんでも「してもらう」のを愛だと思っています。
結婚前から、上手に「愛される」ように仕向けていきます。
このころから、相手に「してもらう」のは始まっています。

⑦薬物・アルコールを乱用する。

DV夫は快楽に対していつも貪欲です。
DV夫は、睡眠薬などのドラッグ、アルコールなど依存性のあるものをよく口にします。
「酒乱DV」は、昔からよくあるDVです。

当然、薬物・アルコールを乱用する人がDVをするとは限りません。
反対に、DV夫が必ず薬物・アルコール依存とも限りません。
ですが、DV夫が依存性のあるものを好むのは事実です。

よく、酒乱DV夫の妻が、
「お酒さえやめてくれればいい人なのに・・・。」
と言います。
夫がお酒をやめれば、DVも止まると思っています。
でもそれば、幻想にすぎません。
妻が逃げて、「酒をやめる」という条件で帰った例も何件か見ていますが、DVが止まったことはありません。
妻は再び逃げることになります。

妻の方は、「夫はお酒せいで暴力をふるう。」と思っています。
ところがDV夫は、お酒を言い訳に使っているだけなんです。
後で、
「あの時は酔ってたから。」
と、さもお酒が悪いように言います。
夫はそれで、ことが収まるのを知っているんです。
従順な妻は、問題を薬物・アルコールのせいにして納得します。
DVの問題が薬物・アルコールの問題にすり替えられてることに気づきません。

また、この言い訳には、もうひとつ利点があります。
DV夫自身も、暴力をふるった罪悪感から逃れられることです。
加害者は暴力を操っているでお伝えしたように、DV夫は意識的に暴力を使っています。
この言い訳をしたいがために、暴力をふるいたい日に酒を飲んで帰る夫もいるくらいです。
こと(DV)を円滑に運ぶために、飲んで帰るということです。
薬物・アルコールと暴力は、本当は何の関係もありません。

また別の理由で、夫は薬物・アルコールをよく使います。
夫は、日ごろたまったストレスを、薬物やアルコールで解消しようとするのですが、それはそもそも間違ってます。
日ごろのストレスを、薬物やアルコールで解消することはできません。
薬物やアルコール依存の人が、ストレスがたまっていると話すのは、禁断症状のストレスです。
お酒を飲んで暴れたところで、ストレスは解消されません。
日ごろのストレスは、それぞれの問題を解決しないと、なくなるものではありません。

⑧弱い女性を狙う。

シングルマザーの彼氏がその子どもを虐待することがありますが、よくニュースなどでも取り上げられるのでご存知のことと思います。
時代のせいもありますが、相談を受けていても、妻にバツがついていることがよくあります。

DVの場合、その母のほうが標的になるわけですが、子どもは人質の役目をはたします。
最初付き合っているときは、子どもともよく遊んでくれる、頼もしい彼氏なのですが・・・。
結婚すると本性を見せ、子どもも被害者となります。
別にそれほどお金を入れていないのに、
「誰が子どもの面倒を見てやっていると思ってるんだ。」
とか、
「お前の子育てがひどすぎて、見ていられない。」
などと言って、暴力をふるうようになります。

また、DV男はなるべくはやく結婚したいです。
離婚歴のある女性は、再婚するときあまり派手にしたくない人が多いです。
DV男はそれをいいことに、なしくずし的に結婚にもっていきます。
悲しいことにシングルマザーは、子どもという人質も持っている上に、すぐ結婚できる格好のターゲットになりえます。

あとDV男は、障がい・ハンディキャップがあったり、気が弱かったりする人の弱みに付け込んでいきます。
DV男よりずっと若い女性や、人生経験や知識や自信がない女性も標的になりやすいです。
自分がさも、女性を助けに来た救世主のようにふるまって付き合い、次第に本性を現していきます。
最初からやりやすい女性を選んでいるんです。

前にDVの被害にあった人がターゲットにされることも多いです。
女性が以前の加害者から逃れるのを手伝ったりして、恩をきせて付き合います。
前の夫に従順さを仕込まれているため、自分で教育しなくていいので簡単です。
なのに時間が経ってくると、今度は前の夫の教育が気に入らなくなってきてしまいます。
前の夫に嫉妬して、暴力をふるいます。
何でもかんでも、暴力の理由になるんです。

DV夫が使う言葉

これまで、DV加害者の心理・特徴と見ていただきましたが、DV夫が使う言葉に、何か違和感があったのではないでしょうか。
相談を受けていると、夫が使う言葉を聞いていて、理解できないことがあります。
・「愛している」と言って暴力をふるう。
・「お互いのルール」と言っているのに「妻だけに課されたルール」
・「妻に成長」してほしいのに「外の世界と隔離」
・「自分が依存」しているのに「妻はひとりで生きていけない」
・「自発的な気分」なのに「妻に気分を害された」

など、数え上げたらキリがないくらいです。

根本的に「DVとは遠い世界にいる人」とは、違う言葉を使っているようです。
・「主語が違う」→夫の気持ちなのに、妻の気持ちのように言う。
・「事実と違う」→夫のDVをなかったことにしてしまう。
・「差別的な言葉」→ひわいな言葉や、下品で差別的な言葉をひっきりなしに言ったりする。
・「大げさに言う」→夫に殴られる手を妻が払っただけなのに、妻に殴られたと言う。
・「短絡的すぎる」→妻が隣の男性としゃべっただけで、「浮気だ」と言う。
・「自分に甘すぎる」→夫は暴力をふるってもいいのに、妻は意見を言うことさえできない。

など、おかしい話ばっかりです。

当然、言い訳も入っていると思います。
ですが本人は、自分の言葉をウソとは認識していないようです。
妻が言ったことと正反対の内容を、今見てきたかのように話します。
私もこれがどうしてなのか、考え込んだ時期がありました。
時間はかかりましたが、いろいろ調べたりして、今は一定の答えで納得しています。

DV夫は、物事の解釈のしかたが違うんです。
同じ事実を見ても、「DV夫」と「DVしない人」では表現のしかたが違います。
DV夫は基本的に、「客観的に考える」ということができません。
言葉ひとつひとつに、自分本位のニュアンスが入っています。
言葉ひとつひとつに対して、自分の解釈を入れる癖がついてしまっています。
長い人生の中で、その小さい違いが、事実と正反対の話になってしまうという結果まで生みだしてしまうのでしょう。

DV夫の頭の中は、現実とは無関係な「ファンタジー」の世界だということです。
夫の桃源郷、理想とする妻、理想の生活は、現実では決してかなうことのない世界です。
ひとつの人格を持つ妻が、自分のために思い通りに動くような生活は、いつまでたっても実現しません。
そして今日も、世界中のあらゆるところで、加害者と被害者が生まれているのです。

次のDV男を見分けるチェックでは、DV加害者の心理・特徴をもとに、チェックリストを作りたいと思っています。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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