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大丈夫。自由は怖くない

逃げる時の公的な制度

夫のDVから逃れてシェルターに入る場合、被害者への支援はかなりスムーズに進みます。
そのとき、相談員も説明をするのですが、多くの制度を使うので、逃げた方はバタバタと書類に記入していくことになります。
なので、被害者本人も、あまり理解できずに制度を使っていることがあります。
このページでは、DVから逃げるときや、逃げた後に使える、公的な制度について説明します。

まず逃げる前から逃げる時までは、
① DV相談の制度
② 警察でしてくれること
③ 一時保護の制度
④ 住民基本台帳事務での支援制度(住民票などの発行禁止)

の4つ。

逃げてからは、
① 保護命令の制度
② 法律相談
③ 日本司法支援センター(法テラス)の利用
④ 生活保護制度
⑤ 国民健康保険・国民年金制度
⑥ カウンセリング(精神科医)
⑦ 都道府県市区町村営住宅への優遇制度
⑧ 生活福祉資金の貸付

の8つ。

子どもがいる時は、
① 児童手当・児童扶養手当・ひとり親医療制度
② 学校・保育園の転校・転園
③ 子どもへのカウンセリング(児童相談所など)
④ 母子福祉資金貸付
⑤ 母子生活支援施設の利用
⑥ 就職や、技能習得の時の制度
の6つの制度についてです。

逃げる前から逃げる時まで

① DV相談の制度
どこに相談したらいい?を見ていただいたらいいのですが、
・DV相談ナビ(婦人相談所)0570-0-55210
・配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)
・女性センター(市区町村)
・福祉事務所(市区町・郡)
・警察
・民間シェルター
などで相談できます。
逃げることが目的でなくても、DVにまつわる相談を何でも受付けてくれます。

② 警察でしてくれること
保護命令が下りると、命令は警察に連絡されるので、被害者の保護を強化してくれます。
警察では、逃げる場合でなくても、頼めば近辺のパトロールをしてくれます。
暴力を止めたり、注意してもらいたい時はしてくれます。
でもその場合、注意してDVが収まるならいいですが、逆に夫を刺激してしまうこともあるので、注意が必要です。
また、夫を逮捕してほしい時も警察です。

③ 一時保護の制度
シェルターの種類シェルターの中の生活などにあるように、
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)のシェルター、女性センターのシェルターに、一時保護してもらえます。
子どもも一緒に入ることができます。
一時保護の期間は2週間です。(事情により延長もできます。)
シェルターに一時的に避難して、相談員とともに、逃げてからの生活を考えていきます。

④ 住民基本台帳事務での支援制度(住民票などの発行禁止)
加害者が、住民基本台帳の一部の写しの閲覧、住民票等の交付、戸籍の附表(住民票の履歴)などの交付を受けて、被害者の住所を探ろうとすることを防止する制度です。
発禁(はっきん)の申請と呼ばれていて、住民票がある市区町村に申請します。
シェルターに逃げたときは、相談員が申請代行してくれると思いますが、被害者が一人で申請しようとすると、相談した証明などの提出を求められます。
一人で行くときは、あらかじめ相談員に連絡してもらうなどの後にしましょう。

逃げてから

① 保護命令の制度
DV防止法についてに詳しく書いていますが、
保護命令とは、加害者に対し、被害者に近寄らないことなどを命じる決定です。
被害者の申立てにより、裁判所が決定します。

保護命令には、接近禁止命令と、退去命令の2つがあります。
<接近禁止命令>
・ 被害者等の身辺のつきまといや、勤務先の付近をはいかいすることを6ヶ月間禁止する命令です。
・ 被害者本人のほか、被害者と同居する未成年の子どもが対象となります。また、実家など被害者と密接な関係のある親族、知人、支援者も対象とすることができます。
・ 接近禁止命令には、被害者の希望により、被害者に対する電話やメール、面会の要求等一定の迷惑行為をあわせて禁止する制度もあります。
<退去命令>
・ 被害者が荷物を取りに行くなどに必要な期間として2ヶ月間、被害者と同居している家からの退去を命じる決定です。

シェルターに逃げた場合は、相談員が一緒に手続きしてくれるので、すんなり進みます。

② 法律相談
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)・女性センター・都道府県・市区町村では、無料で弁護士に法律相談を受けることができます。
夫と別れたい場合や、別居中の生活費・養育費のことなど、弁護士に相談したいことは多いと思います。
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)の相談員や、市区町村などで聞いてみてください。

③ 日本司法支援センター(法テラス)の利用
日本司法支援センター(法テラス)では、無料で法律相談ができます。(回数制限があります。)
民事訴訟を起こす時など、法テラスで弁護士料を立替えてくれる制度があります。
条件に合えば、弁護士料を立替えてもらって、後で分割で返済するシステムです。
(生活保護世帯の場合、返済は免除されます。)

④ 生活保護制度
生活保護制度は、保護基準により計算された最低生活費よりも収入が下回る場合に、その不足分について保護を行います。
着の身着のまま逃げてきた人は、新しい生活を始める時に身動きできませんから、生活保護を申請するようになると思います。
例えば、シェルターを出た後、アパート・マンションを借りて新生活を始める場合、
申請して、アパート・マンションの敷金等の扶助を受けて住みます。
そして新しく仕事を見つけて、生活が成り立つようになるまでは生活扶助を受けます。
保護基準を上回る収入になるまでは保護してもらえます。
(収入には、両親の援助や養育費なども含みます。)

⑤ 国民健康保険・国民年金制度
加害者の被扶養者になっている保険証を使うと、加害者に今居るところが知られてしまう危険性があるため、注意が必要です。
住所を知られず、被扶養者から外して、新たに国民健康保険に加入するなどの手続きを行うことも可能です。
方法については、市区町村の担当窓口や配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)などに相談してみてください。
国民年金も同じく、住所を知られずに第1号被保険者になれます。
第1号被保険者になると、保険料を納付する義務が生じますが、生活保護を受けている場合は免除になります。

⑥ カウンセリング(精神科医)
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)では、被害者に精神科医の無料カウンセリングを用意しています。
医師が来てくれたり、被害者が病院に行ったりなど、施設ごとに仕様が違うので、相談員に聞いてみてください。

⑦ 都道府県市区町村営住宅への優遇制度
この制度も、各自治体で設けている制度なので、一概には言えないのですが、多くの自治体でよくある制度です。
DVで逃げた後、都道府県・市区町村営住宅に入居したい場合、当選確率が高くなることがあります。
また市区町村によっては、火事で焼け出された方向けなどに、緊急用の空き部屋を用意していることがあります。
通常、公営住宅の入居審査は、一年に1~4回の受付しかしていませんが、DVの場合、緊急用の空き部屋に入居できることがあります。
これも各市区町村の公営住宅課や、福祉事務所などに相談してみて下さい。

⑧ 生活福祉資金の貸付
生活保護の制度は、保護期間中に支給されたお金を返すことはないですが、この制度は、貸付制度です。
お金を持たずに逃げても、後で返すことができる場合は、生活福祉資金の貸付が利用できることがあります。
社会福祉協議会が貸付を行うので、市区町村ではなく、「しゃきょう」と呼ばれている所で聞いてみてください。
市区町村の役所の近くに建物があることが多いです。

子どもがいる時

① 児童手当・児童扶養手当・ひとり親医療制度
被害者が子どもと一緒に逃げている場合、児童手当・児童扶養手当・ひとり親医療を受けることができます。
申請するときには、保護命令が出た証明などがいります。
住民票を移動しているか、していないかで、申請する場所が違ってきます。
シェルターに逃げた場合は相談員(弁護士がついている場合は弁護士)に代行してもらえるので安心です。
でももし、逃げずに保護命令が出ている場合には、申請するとき、事前に配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)や女性センターの相談員に言って、児童手当などを扱っている係に連絡してもらいましょう。
一人で申請しようとすると、役所の職員にいろいろ聞かれたり、時間がかかってしまったりして面倒なことがあります。

② 学校・保育園の転校・転園
DVで逃げている場合、住民票を移動せずに逃げることが多いですが、その場合も転校・転園することができます。
加害者が追いかけてくる恐れがあるため、学校や自治体が協力して注意しておかなければなりません。
各自治体では、被害者の希望や状況に応じて、転校・転園を検討することができます。
これも相談員から、市区町村への学校・保育所などの係へ相談してもらいましょう。

③ 子どもへのカウンセリング(児童相談所など)
直接子どもに暴力をふるわれなくても、DVがあると子どもの心に重大な影響を及ぼすことがあります。
子どものための相談・カウンセリング機関には、都道府県の児童相談所、市区町村の子どもの相談支援センターがあります。
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)でも相談できますし、女性センターなら市区町村内なので、相談支援センターと連携して相談を聞くことができると思います。

④ 母子福祉資金貸付
母子家庭に対し経済的に自立して安定した生活を送ることを目的に、転宅等に係る資金を貸し付ける母子福祉資金の制度があります。
これは、市区町村の児童扶養手当の担当課でわかると思うので、聞いてみてください。

⑤ 母子生活支援施設の利用
母子生活支援施設は、昔、「母子寮」と言われていた所です。
ざっくりとしたイメージでいうと、DVや経済的な理由で、自立して住むのが難しい母子が入る施設です。
退所の期限がない、外部との連絡・接触のできるシェルターといった感じです。
公的・民間のいろいろな施設があるので、生活については様々です。
シェルター(シェルターの種類)と同じように、個別の部屋がある大きい施設や、全員に食事当番があったりする、グループホームのような施設などがあります。
利用料は所得によって決まります。
ここにいる間に、支援員と相談して、仕事を見つけて働いたりして、生活が軌道に乗れば退所するという形になると思います。
この施設のことは福祉事務所が担当しているので、児童扶養手当の担当課か、もしくは女性センターが担当していると思うので、聞いてみてください。

⑥ 就職や、技能習得の時の制度
逃げてから就職を考えたとき、職業相談、求人情報の提供などのサービスを行うハローワークに相談ができます。
また、就職に必要な技能を身につけたいとき、キャリアカレッジ(技術専門校)に通うことができます。
通うための費用を支援してくれる制度が、各ハローワークで用意されていますから、相談してみてください。

ひとり親家庭に対しては、各都道府県にひとつずつ、「母子寡婦福祉連合会」というところがあり、就労支援を行っています。
あまりなじみがない団体だと思うので、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)などで聞いてみてくださいね。

都道府県・市区町村の対応

都道府県・市区町村は、DV被害者に対していろいろな制度を用意していますが、DVの件数が少ない市区町村などで、職員が慣れていなくて時間がかかることがあります。
例えば、保護命令が出てから、証明を持って児童手当の手続きに行っている時に起こったりします。
証明があって、母親が子どもを監護していることがわかれば、母親に名義を変えることなどは、すぐできるはずなんです。
なのに、申請しようとすると、対応した職員が困ったり、上司に相談したり、どこかに電話したり、モタモタするんです。
ゆっくり時間がある時や、安全な時ならいいですが、夫と会うかもしれない地元の役所に長く居るのは危険なこともあります。
ただでさえ気力が落ちていて、人と話すのにとても神経を使う心理状態のこともありますから、たまったもんじゃありません。

DVの手続きの時、いまだにそんなことが起こりますから、何事も一人でしようとしない方がいいです。
役所で何か手続きをするときは、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)や女性センターの職員に付き添ってもらう。
それが無理な時は、事前に手続きする部課に連絡を入れてもらいましょう。

次の、保護命令制度では、上の「保護命令制度」について、掘り下げていきたいと思います。
今回も、長い間付き合っていただき、ありがとうございました。

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