イメージ画像

大丈夫。自由は怖くない

シェルターの中の生活

DVシェルターは、シェルター側からすると、場所など
「絶対秘密」
にして欲しいです。
一番に恐れるのは、「激情した夫が乗り込んでくること」です。
暴力に傷ついた被害者をかくまっていますから、夫が来るかもしれない不安があってはなりません。

DVシェルター側からは、ほとんど情報を外に出しませんから、必要な情報さえ表に出ず、様々な憶測が飛び交っているという現状だと思います。

DVシェルター自体も多くのタイプがあるので、全部をひとくくりにはできませんが、
このページでは、代表的な2つのタイプ
① 公立の共同生活型シェルター
② NPO法人のアパート・マンション型シェルター

を紹介します。

① 公立の共同生活型シェルター

公立の共同生活型シェルターは、ほとんどが、配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)の持っているシェルターです。
「婦人相談所」とか「女性相談所」という名前なので、略して「ふそう」とか「じょそう」と呼ばれています。
警察や役所(市や郡の女性センター・福祉事務所など)で相談して、命の危険性が高い人は、ここに逃げることになると思います。

逃げることになった場合、女性センターなどが配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)まで送ってくれます。
車がある人は、先導してもらって車で行くことになります。
配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)は、玄関にガードマンがおり、物々しい雰囲気です。
まず応対室でDVの状況や、今までの経過などの話から、シェルターに入るべきかを判断されます。
被害者自身の気持ちも、もう一度確認されます。

シェルターに入ることになったら、担当の相談員が付き、いろいろな書類に記入します。
そして相談員と一緒にシェルターに移動し、部屋に通され、シェルター内のことや、生活の流れ、これからの予定などの説明を受けます。

内部はビジネス旅館のようになっていて、各部屋には小さい冷蔵庫やポット、アメニティグッズやパジャマなど、生活に必要なものはだいたい一式揃っています。
食堂があり、食事は基本的には食堂で行うか、各部屋に持って行って食べます。
給食や弁当が出る所が多いですが、入所者と職員で食事を作るような所もあります。
トイレは各部屋に付いていることもありますが、共同の所が多いです。
お風呂も共同ですが、あまり大きくないので、予約表に時間を記入して、その時間に使うタイプが多いです。
子どもが遊べる「プレイルーム」・「談話室」のような共同のスペースに本などが置いてあり、他の入所者と話すこともできます。

公立のシェルターの中では、生活に制限があります。
携帯電話は相談員が預かります。
シェルターの種類にあるように、外部との連絡はほとんど取れません。
実家など、どうしても連絡を取りたい時は、シェルターの電話を使って、相談員の前で電話するようになります。
これは、シェルターのあるところを知られるのを防ぐということと、共依存の強い被害者は、数日すると夫のことを心配し、連絡してしまう衝動が起きますから、それを避けるという理由からです。

あと、外出はできません。
買い物などは相談員に要るものを言って、買ってきてもらいます。
新生活を始める手続きをするのに、裁判所に行ったり、アパートを探したりといった、外出する機会もありますが、その時は相談員と一緒に外出するようになります。

入所当初、被害者の多くはDVにより気力を失っており、自分がどうしていいかわからない状態です。
相談員に頼りたい気持ちが大きいですから、かえって安心ととらえている人もいるようです。
ですが少し経つと、監視されるのがつらくなり、居心地が良くないと感じる人も多いと思います。

シェルターの中にいる間は、生活に関する料金は無料なのでお金に関する心配はいりません。
そしてそのまま実家に帰るとか、母子生活支援施設などの施設に行くなら、金銭的に問題はありません。
ですが、シェルターにいる間に、病院に行きたいのに手持ち金が足りない時や、新しくアパート・マンションを借りて、誰も知らない地で暮らしていく時は、敷金などにお金がかかりますから、逃げてきた市区町村の生活保護を申請するようになります。
その手続きは、相談員が代行してくれるか、生活保護の職員と配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)で待ち合わせたりして、申請を受け付けてくれます。

入所期間は、基本的には2週間までです。(事情によっては少し延長できます。)
14日の間に相談員のサポートにより、「保護命令の申請」に始まり、「離婚するのか?」「次はどこで暮らすか?」「どこで働くか?」「子どもの保育園や学校はどうするか?」などを考えて、新生活の準備をしていきます。
毎日、相談員がシェルターに来て面接し、書類に記入したり、これからの生活全般を決めていかなければなりません。

未来に希望を持っている人は、この作業が楽しいですが、DV漬けで意志が弱っている人には、きつい作業になってきます。
でもずっと大人しくしていると、相談員の思うように誘導されてしまったり、勝手に決められてしまったりします。
後で、「こんなはずじゃなかった・・・。」と後悔するのはあなたです。
あなたの人生はあなただけのものですから、ここは少し踏ん張って、自分で決めていきましょう。

② NPO法人のアパート・マンション型シェルター

アパート・マンション型のシェルターを持っているNPO法人は、弁護士事務所が運営しているNPO法人か、昔からあるボランティア団体のシェルターが多いです。
相談して、命の危険がある人は、公的シェルターにかくまう可能性が高いです。
しかし、公的シェルターが空いていなったり、被害者の事情によっては、NPO法人のシェルターを紹介するようになると思います。

この公立でないシェルターは、比較的自由度が高いです。
場所さえ秘密にできれば、携帯を預けたりしなくていいですし、夫に会う可能性がない場所なら、自由に外出していいです。
期間も、そのNPO法人によって違うのですが、公立のシェルターよりは、長く居ることができると思います。
生活用品もほとんどそろっていますので、そこですぐ生活を始めることができます。

利用料は、1日1,000円~2,000円とか、家賃分の負担とか、少しかかります。
もし、着の身着のまま逃げてきて、他に頼るところがないのであれば、生活保護を申請するように言われると思います。
都道府県によって、生活保護でのシェルターの扱いがまちまちなのですが、逃げてきた市区町村か、シェルターのある市区町村で申請をします。
それも、NPO法人の方が手配してくれます。

逃げてからはそこで生活をして、時々弁護士などが訪ねてきて、今後のことを話し合っていくというスタイルになります。
もうここで生活を始めますから、子どもさんは、保育園や学校に通わせることができます。
何でも心配なことは、NPO法人の方に相談してみましょう。

少しわがままくらいでいい

上記の公立のシェルターの時にも触れましたが、DV漬けになっているような被害者は、自信を失い、意思が弱っている人が多いです。
誤解…被害者はなぜ逃げない?などにも書いていますが、「夫の暴力に守られている」と感じている妻もいるほどです。
自信を失い、意思が弱っている被害者は、自分で自分を癒すことができません。
夫から離れて、今まで夫でいっぱいだった心に穴が開いています。
それを寂しさと勘違いして、寂しさを埋めようとするのですが、どうやっていいのかわかりません。

そしてまた、夫に連絡をしてしまうんです。

帰ってしまうと、夫の監視は以前より厳しくなり、暴力もさらに悪化します。
それがわかっているのに帰ってしまうほど、DVの心の闇(共依存といいます)は深いです。

逃げてすぐのあなたにとって、「何でも自分で決めなければいけない」というのは、とてもきついし、将来のことも不安でたまらないと思います。
ですが、今を切り抜ければなんてことはありません。
アドバイスとしては、少しわがままにふるまうぐらいがいいです。
DV被害者は、謙虚の天才です。
日ごろから自分を低めに設定していますから、そのままでは思うような人生になっていきません。
思ったよりわがままくらいでちょうどいいです。

次の、逃げる時の公的な制度では、DVで逃げる時に使える公的な制度について説明していきます。
今回も、長話に付き合っていただき、ありがとうございました。

スポンサードリンク