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大丈夫。自由は怖くない

よく出てくる「事実婚」

DVのことを話す時によく出てくる「夫婦及び事実婚」という言葉。
DV防止法では、法を適用する対象を決めていて、その対象は「配偶者」と書いてあります。
その「配偶者」とは「夫婦及び事実婚」のことです。
なのでDVの場合は、事実婚でも適用されます。

この言葉は法律用語ですから、公の制度を使う時よく出てきます。
このサイトでも何回か出てきます。

夫婦とはご存知のとおり、婚姻届を役所に出して一緒に住む、いわゆる「法律上の婚姻男女」のことですね。
「事実婚」とは、婚姻届を出していないけれど、お互い婚姻の意思があって、ある程度の期間一緒に住んで、ともに生活している男女のことを言います。
内縁関係とも言います。
事実婚は法律上夫婦とは認められませんし、戸籍に事実婚だとは記載されません。

事実婚でできること・できないこと

事実婚について、ふわっとしたイメージでいくと、
「紙切れ1枚にしばられなくて自由。」とか、
「別れたときに戸籍が汚れなくてすむ。」とか、
「夫婦別姓でいられる。」とか
メリットがあります。

反対にデメリットもありますね。
「周りの人に理解されにくく、偏見を持たれやすい。」とか、
「子どもができたとき母の戸籍で、父は認知の形になる。」とか、
「気持ちでつながっているだけなので、関係が不安定になりやすい。」とかです。

公の制度の中でも、法律婚じゃないとできないこともありますし、事実婚と認められればできることもあります。
まずできないことは、
・相続できない。
・税の配偶者控除を受けることができない。
・戸籍が別なので、子どもが父の名字を名乗りたいとき、手続きが面倒。
など、戸籍に登録が必要なことです。

反対に、できることは、
・健康保険の扶養に入れる。
・年金では3号被保険者になれたり、遺族年金なども受給できる。
・児童手当の受給者を父にできる。

など、住民票からの情報で行う事務の方です。

(※細かいことは制度によっていろいろ違いがあるのですが、ここではわかりやすく単純な説明にしています。)

ということは、事実婚とは、戸籍には載らないけれど、住民票には何か事実婚とわかるような記載のしかたがあるということです。

別に「その記載」がなくても、裁判で事実婚が認められて遺族年金がもらえるような例もあります。
ですが、事実婚が裁判で決まると、住民票には「その記載」がされることになるでしょう。

で、住民票に「その記載」って、どう記載されているんでしょう?

妻(未届)

「なに?」
って感じですが、事実婚が認められると、世帯主のパートナーは、同じ世帯の住民票に
「妻(未届)」
または、
「夫(未届)」
と記載されるんです。

私も役所に入って、この記載を知ったときはビックリした記憶があります。
ひと昔前までは、住民票の係の職員が実態調査して記載をしたり、裁判で事実婚が認められて記載するくらいで、ほんの少数でした。
ましてや皆さん、そんな記載のことを知りませんから、自分で届出るようなことはありませんでした。

でも今は、ネットやドラマの影響で、この記載のしかたを知っている人もいますから、自ら住民票を、この記載で届出る人もいらっしゃいます。
ですが、役所が調査して却下する場合もありますから、届出るだけでは難しい場合もあります。

基本的に事実婚が認められる条件は、
①お互い結婚の意思があること。
②一緒に暮らしていること。

の2つです。

でも一般に、結婚の意思のある男女が同棲しているだけでは事実婚は認められません。
また、世帯主と戸籍がつながっていない人が同じ世帯にいる場合、住民票には「同居人」と記載されるのですが、この「同居人」は男女とか関係ないので、事実婚のあかしにはなりません。
同性同士の世帯でも「同居人」となります。

では、どうすればいいかなんですが、
「生計が一緒。」
「周りの人たちがその2人を夫婦と思っている。」
「子どもを認知して一緒に育てている。」
などの事実があれば、認められやすくなります。
夫婦のように生活していて、親や親せき、近所の人たちなどから夫婦として扱われていると、事実婚は認められる傾向にあります。

事実婚を認めてほしいとき

事実婚の認定を受けるといっても、普通に暮らしている間は、認定はなくても生活に支障がないですね。
「事実婚の認定を受けたいとき」というのは、たいてい何か切羽詰まったときです。

・仕事を辞めるなどして、社保や年金の扶養に入りたいとき。
・パートナーが亡くなったとき。

・DVを受けたとき。

などです。
DV法の適用範囲でないと、保護命令も出ません。
DV法の適用範囲は「夫婦及び事実婚」ですから、事実婚の人がDVで逃げる場合、事実婚の認定を受けたいです。

DVシェルターに逃げたときは、相談員が手配してくれるので心配いらないです。
ですが、自分で事実婚を認めてもらうには、勉強したり、手続きしたりがありますから、大変だと思います。
なので、DVを受けたときは、警察や配偶者暴力相談支援センター(婦人相談所)・女性センター・福祉事務所など、専門機関に相談するのが1番です。
相談は、夫婦でも、事実婚でも、デートDVでも、なんでも受けてくれます。
DVだと感じたら、あなたがどんな状態でも、1度相談してみてください。
(※詳しくはどこに相談したらいい?へ)

次の逃げる準備では、逃げる前にやっておいた方がよいことを紹介します。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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