DV夫は止められない病気?
前回までで、
①4種類の暴力のこと、
②虐待のサイクルのこと、
③暴力はエスカレートすることがわかりました。
DV夫はこの3つの技を巧みに使います。
妻が「止めて!」と言っても、止めません。
DVが世間にばれたら、夫の評判は地に落ちることになるのに、止めようとしません。
DV夫にとっては、世間体が命より大事なのにも関わらずです。
ここで疑問がわいてきます。
DV夫は、本当に爆発して、暴力が止められないのでしょうか?
「爆発期」で、抑えていたストレスや怒りが爆発し、それを止めることができない、そういう病気なのでしょうか?
もし、キレたら暴力が止められない病気なら、治療したら治るのでは?
などと思ってみたりもするのですが、DV夫に何人も話を聞いたりすると、そうではないんです。
加害者は暴力を操っている
DV夫は、異常に外面がいいです。
職業もいろいろですし、会社などでとても上手くやっている人も多いです。
仕事に行って、上司にペコペコしたりできますし、近所の人とニコニコあいさつもできます。
そして、趣味に没頭して、その仲間と飲んだり、遊んだりもできます。
外にいる時は、全く普通に見えるんです。
それが、外の人にはとてもいい人で、家の人、それも全く無抵抗の妻にだけ暴力をふるうわけです。
DV夫の頭の中では、人間は全員、「優」と「劣」に分かれています。
完全な「上下関係」の意識があり、外では自分の位置関係にだけ、スポットを当てて生活しています。
当然、実力よりも自分を良く見せたいです。
劣等感も強いです。
それゆえ、他人の言動、自分が他人にどう見えているかなど、人といる時は常に気を使っています。
それってものすごく精神が疲れるんです。
普通の(暴力と関係のない)人々の中にも、他人に気を使いすぎるような人はいると思います。
ですがその人たちは、癒す方法を知っていたり、何かの方法で発散させながら生きています。
DV夫には、その発散の場が妻です。
暴力を使って、妻を自分の「下」、「劣」の方に置いておかないと気がすみません。
DV夫は、暴力をふるっている最中に警察が来ても、今まで絞めていた妻の首から、即座に手を下ろし、
「大丈夫ですよ、ちょっとした夫婦げんかが外に聞こえちゃって・・・。お恥ずかしい。」
などと平気で言えるんです。
止めることができるんです。
それは、怒りが爆発して止まらない病気とかではなく、
自分の意志で暴力を操り、効果的に使うことができることを意味しています。
DV夫は意識的に暴力を使っているんです。
夫の中にある桃源郷
DV夫の話を聞くと、多くは「暴力を制御してやっている。」と言います。
DV夫は決して「口ベタ」というわけではありません。
理屈の合わないことを、妻に納得させる(というか、反論することをあきらめさせる)ことができるわけですから。
なので、「口でうまく言えないから、暴力をふるっている。」ということではありません。
そして、「口で言っても、妻が聞かないから」でもありません。
口も手も足も、最初から少しずつ出てきます。
暴力が最後の手段ではないんです。
DV夫は、妻をコントロールし、「自分だけの奴隷」にするために、妻を教育していきます。
それには、暴力を使うのが手っ取り速いから、やっているんです。
やむを得ずやっているわけではありません。
初めから、暴力ありきで妻を教育しているんです。
DVは、心の病気やコミュニケーション不足の問題ではありません。
また、「被害者も悪い」なんていう訳の分からない論調もありますが、そんな問題でもありません。
(DV男にはまりやすい特徴や思考を持っている女性はいます。)
逆に、DV夫はコミュニケーションの一部として、暴力を使っています。
暴力を操り、効果的に使うことによって、妻を教育しています。
それは、妻をおとしいれるためにやっているのではありません。
DV夫の思う、理想の女性にするためにやっています。
もっと言えば、DV夫の思う、家族の幸せのためにやっているんです。
もう、意味が解りませんよね。
暴力とは関係のない人から見れば、DV夫の想いは、とうてい理解できません。
DV夫は、相当ゆがんだ目で、世間を見ています。
また、暴力のない幸せな夫婦のことを、情報としては知っています。
でも、暴力なしに幸せな家族を作るなんて、自分にできるわけがないとも思っています。
そしてその、普通の人は理解できないDV夫のことを、理解してくれる人を作ろうとしているんです。
次は、誤解…被害者はなぜ逃げない?に続きます。
今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。